認知症高齢者の入居者が多い老人ホームの夜勤は地獄
私は特別養護老人ホームの介護福祉士として、入居者の介護の仕事をしているのですが、夜勤シフトのときは、翌朝の日勤帯の職員が来るまでが戦いです。
職場は、入所者80床、ショートステイ20床で、夜勤は職員は4人体制で行われています。
入居者の方の就寝時間は19時になりますが、夜勤者は19時半に遅番職員が帰ってからが一番大変な時間帯です。
30名を一人で介護する
夜勤者は定時の業務に加え、コール対応、徘徊、転倒リスク者への対応、熱発者への細心の注意など、ワンフロア30名ほどの介護を一人で対応しなければなりません。
先日も下肢筋力低下のため、日中でも転倒のリスクがある認知症の入居者の方をトイレ誘導している途中にコールがありましたが、目を離すことが出来ないのでコールされた入居者さんへの対応が遅れました。
待つことが出来る方なら慌てずに対応できますが、コールした方が誰だかわからないとトイレ誘導しながらも焦ります。
認知症の方への「待っててね」は不可能なので、同時に2人を介護することはできません。
コールをした人の元へ駆けつけるのが遅れたために、ベットから降りようとしてズリ落ちそうになった方もいました。
こんな状況では介護事故が起きるのも無理がありません。
どんなに時間配分を計算して円滑に業務をこなそうとしても、予測外のことが多すぎて、その都度対応に追われ、一人の職員では限界があり対応しきれません。
気持ちが焦れば、入居者の方への言葉かけや対応がそっけなくなってしまったり、危険を見逃してしまう事も起こります。
仮眠時間も気が抜けない
夜勤中は仮眠時間もありますが仮眠とは名ばかり。
日中に処理できなかった仕事をこなしたり、仮に横になれてとしても、常にコールが鳴り続け、いつ入居者の方がベットから出ようと起きだしてくるか分かりません。
ですので、業務時間中は遠くから聞こえるほんのわずかな物音にもアンテナを張り続けなければいけません。
プライベートにも支障が
自分では自覚はしていなくても神経はいつも張り巡らされているので、夜勤を終えて自宅に帰ってもコール音が聞こえるような気がすることが何度もありました。
夜勤を終えた直後はいつもものすごい空腹感に襲われるので、いつもの食事量より多く食べてしましますが、眠気に襲われるのですぐに寝ます。
このような毎日を送っていると、当然ですが体にも負担がかかります。
介護職は高齢化社会の日本で生涯安定の職業でもある!ローンの審査も通りやすい?
現在は高齢社会、もう何年も経たないうちに超高齢社会が待っている。
若い人一人に対して、3人の高齢者の負担が掛かると言われている。
以前は人生80年と言われてたが、現在は80年以上になっているはず。その要因として医療分野の進歩も無関係ではない。
これからも施設は増えていくだろうし、その分介護士の需要も高まっていくのは、自然の流れというもの。
介護士の給料がもう少し上がれば、直ぐに人手不足も解消すると思うだがそう上手くはいかない。
でも確かにこの不況の中で、福祉分野の中でも高齢者福祉に関しては、一番安定した職場ともいえる。
少なくとも、介護職が生涯の安定が保障された職業の一つになることは間違いない。
ただ仕事の内容が内容だけに、介護職になる人が多くなるかは不明確。
大手の企業が合併や倒産がある中、実に着々と伸びているのは医療分野と高齢者福祉。
高齢者がいる限り合併も倒産も有り得ない。
その点では、生涯安定した職業と言い切ってしまっても差し支えないと思う。
ある意味高齢者施設だけでなく、病院での勤務も可能な訳だから、否定する理由がどこにも見つからないのが現状。
介護職員初任者研修さえ持っていれば、医療・福祉分野ではどこでもウェルカム。
そういう意味では、一般企業に就職しているより余程安心して働くことが出来る。
病院ならば準看護師になるチャンスもあるし、福祉から医療にステップアップも可能。福祉施設ならば、色んな資格を取得することで介護士としてエキスパートも目指せる。
どちらにしても、介護士を続ける事によって失業の心配は一切いらないという点が、他の職業と違うところなのかもしれない。
しかも、希望すれば正職員で採用されて、福利厚生もしっかりしている。
そのため、住宅ローンやマイカーローンの審査も通りやすいと聞く。
事実、私が今の夫と賃貸アパートで同棲を始めた頃、飲食店勤務だった夫ではなく、私の名義の方が確実に賃貸は借りられる、と営業の方に言われた。
介護士という仕事から離れない限り、生活は保障されていると確信しても問題ないはず。
こんな人は介護士に向いていると思う!
介護士も人間だから、個性的な人もいれば当然ながら性格は色々。
ある意味、色んな人がいて、面白いと自分は思うんだけど、これが介護職員としての資質を問われたら、ちょっと見方は変わってくる。
介護士として理想的なのは、優しくて気配りもでき、細かいところまで目の届く人だと思う。
明るくて元気な人も職場には絶対に必要。
とにかく、入居者さんや利用者さんに寄り添って介護ができる人が一番。
しかし、残念ながらこのような理想的な人は実際にはとても少ないのが現状。
「お世話をさせて頂いている」ではなく「世話をさせられている」と思ってしまうのか、上から目線で接する介護士が結構多い。
それゆえに、不必要に子どもを叱るように声を荒らげたりして、聞いていると「ん?」と思うときも多々ある。
ちょっと舐めた態度をとるのは何も若者だけじゃない。
おばさんやおじさんにも見られる。根本的な意識の違いなんだろう。
入居者は介護職員よりはるかに歳を重ねている人ばかりだし、高齢者の方も「面倒を見てもらうのは、申し訳ない」と思っている人が多い。
そんな中上から目線で注意をしたり、介護士としてふさわしくない態度をとるということは、高齢者の方が必要以上に萎縮してしまう。
そんな萎縮した高齢者を普通だと思ってしまう。でも実際は間違っている。
介護スキルは年数を重ねていくうちに上達するもの。
でも、それより大切なのは相手を理解して応対すること。
介護士にとっては、決められた時間内の業務かもしれないけど、入居者さんにとっては終の棲家。
そこで生活している以上は、ストレスフリーな状態を作り出すのも、介護士の仕事の一つだと思う。
でも、実際長く施設に残ったり、介護士を続ける多くの人は「仕事と割り切って」いる人の方が圧倒的に多い。
それは、余計な気遣いをしなくて、マイペースで動けるから居心地が良いのかもしれない。
実際、優しく気遣いができ、小さなことでも気づいてあげられる人。
要は他人に対して神経質な人が介護士には必要な要素だと思うし、介護職に欠かせない能力だと思う。
でもそういう介護士は精神的に保たないというのも事実。
介護士に一番向いているのに、向きすぎていて、続けられないということもよくある。
だから本当の意味で介護士に向いている人は「気遣いなどができるが、自分自信も大事できる人」だと思う。
介護士を辞める人の本当の理由
介護職員の男女比はまだまだ女性の多い職場。
臭い・キツイ・低給料の3Kで辞めていく人は、最初の段階で直ぐに辞めてしまうと思う。
でも、何年も介護士をしていながら辞めていく人は、他の理由によるものだと思う。
自分は男だから、職場の複雑な女性の人間関係には疎いけど、人には相性というものがある。
また、チームプレーを重視される介護職は、阿吽の呼吸で仕事が出来るかどうかで、仕事の効率も大幅に変わってくる。
ひとえに介護士といえども、スキルは個人で異なるし、一番気にするところもシフト勤務で組む相手のこと。
介護職員の中には、優しい人も厳しい人もいる。
性格的にも気性の荒い人もいる。
物事をハッキリいう人もいれば、思っていることをなかなか言えない人もいる。
最悪の場合だと、八つ当たりしやすい人や文句を言ってくる人がいることもある。
こういったタイプから一度目を付けられたら、なかなか逃れられない。
大体の人は、人間関係の悩みを多少なりとも持っているはず。
職場の人間関係について、女性職員から相談されることもある。
でもそれは、本人たちの問題で実際のところは悩みを聞いてあげるしか出来ないのが現状。
そこで、人間関係に疲れてしまうと、辞めるという判断に至るわけなんだと思う。
イジメを受けたり、いつも文句を言われたり、物静かな人ほどターゲットになりやすい。
介護職自体がストレスになっている人も多いはずだから、静かな人ほどそのストレスの捌け口になってしまうもの。
また、女性は噂が好きな生き物。
根も葉もない噂は、またたく間に広がる。
特に悪い噂の広がり方は異常。
他には給料が高い所へ移る人も多い。
あとは、腰痛で仕事が継続できずに辞めていく人もいる。
中には施設の方針に不満を持って辞めていく人もいる。
しかし、このような例はほんの一部で、大抵は人間関係の問題絡みで辞めていく人がほとんどのはず。
本来、大の大人が取るべき行動ではないんだけど、そんな子供のイジメのようなことでせっかくの仕事を諦めるなんて悲しい。
せっかく身に付けた介護スキル、捨てるのはもったいない
1年でも1ヶ月でも、介護士として働いた経験をそんな他人のせいで捨てるのはもったいない!
資格を取るために時間もお金も使ったんだから!
だったら介護士派遣という働き方はどうか?
派遣なら働く期間も決まっているので、嫌な職場にあたってもちょっと我慢すれば次に行ける。
紹介予定派遣として登録すれば、気に入った職場があればそのまま正社員として働くこともできる。
そう、仕事をしながら職場を選ぶ感覚。
もし、今まさに介護士を辞めたいと考えている人がいるのであれば、介護派遣の時給を確認してから、もう一度踏ん張ってみてはどうだろうか?
きっと直ぐに転職したくなるはずだ。
介護職は臭い・キツイ・給料が低いの3Kだけど、それでも自分が介護士を続ける理由
自分は元々ばあちゃん子で、どちらかというとお年寄りが好きだった。
介護職は確かに臭い・キツイ・低給料の3Kって言われてるけど、自分の場合は慣れというよりは、自然と入り込めまた。個人差もあると思うけど。
人が集団で生活している場所だから色んな臭いもするだろうし、一人で最低でも10名の見守りと面倒を見なければいけないので忙しいのも事実。
でも、時々面倒を見ているというよりは、大切な事を教えてもらっていたり、面倒を見させて頂いていることによって、自分自身に得ることが多い。と、思う時が結構たくさんある。
給料が安いのは、働く前に概算を提示してもらっているので働き始めてからとやかくいう権利はない。
そもそも介護職を仕事と割り切ってやっていきたいのであれば、介護職の仕事には就かないと思います。なんせ3Kだからね。
トラック運転手として働いていた自分でも、お世辞にも条件的に良い職業とは言い難い。
でもそこにはプラスαがあるから、今も介護士を続けてられている。
私の場合は、入居者さんを自分の祖父母のように思って接している。
もし自分の親族が不当な扱いを受けていたら許せない。
だから笑顔を絶やさずに、快適に生活をしてもらうために色んな工夫もしている。
その工夫が活かされた時の喜びは、入居者さんと分かち合うことができる。
半分、自己満足なのかもしれないが、介護職はそういう楽しみもある。
中には困った人もたくさんいるけど、本人が意識的に行うものと、無意識に行うものがある。
無意識に行うものでも、何かしらの原因や理由がある。
認知症や脳の病気。不安や寂しさ。
これらは「問題行動」と言われるもの。
しかし、本人は真面目に訴えている。
例えば自宅に帰りたい。
昼間はトイレで用を足せるのに、夜間はポータブルトイレを使用してもビショビショにしてしまう。
オムツをバラして口に入れる人などなど。
これらは、一つ一つ丁寧に話を聞いて対処することで、解決する場合がある。
だから自分はまず心をケアすることから始める。
介護職とは、単に高齢者の日常生活の面倒を見るだけのものではない。
そこには必ず課題があり、それを入居者さんと共に解決していくことが求められている。
おそらく、ここじゃ自分にしかそれができないだろう。
自分がいなくなったらお年寄りが困る。楽しく暮らせない。
そういったところに、やりがいや使命感を感じる。
それが私が介護職を続ける理由だと思う。